木の風合いをいかした唐木仏壇とその産地
唐木仏壇とは、木目を活かした仏壇で、使用する木材の種類で大まかに分けられます。唐木は、東南アジアの木材で、古くは中国を経由して輸入されていたものです。これは中国が「唐」と呼ばれていたために名付けられたものです。唐木として代表的な木材は、黒檀、紫檀ですが、日本で取れる桑の銘木も使われます。
黒檀は、主にインドネシアを原産地とする木材で、カキノキ科の広葉樹のなかでも、心材が黒いものを特に黒檀と呼びます。肌目が緻密で重く、硬いのが特徴で、黒の度合いが高いものほど高価です。紫檀は、ラオス、タイ、ベトナムが原産の木材で、マメ科・シタン属の樹木を指し、紫色というよりは暗褐色に近い心材です。心材は硬くて緻密、耐久性に優れています。
桑は、日本各地で自生している木材で、心材は黄赤褐色で、樹齢を重ねると黒味を帯びてきます。その中でも伊豆諸島で産出される島桑が銘木と呼ばれるもので、唐木仏壇に使われます。島桑は桑材の中で最も木目が美しく、茶道具などでも高級品とされる木材です。
唐木仏壇は、銘木そのものが手に入りにくいものであるため、総無垢の仏壇はほとんどなく、サイズが大きく、良質の唐木を使った仏壇は1,000万円を超えることも珍しくなりません。そのため唐木仏壇は、銘木以外の木材で形を作り、銘木を表面に張って作ることがほとんどです。唐木仏壇は、仏壇の大きさなどよりも、木材の種類と材質、そして張ってある銘木の量で値段が大きく異なることが特徴です。
唐木仏壇の産地として有名なのは徳島、大阪、静岡です。
●徳島仏壇
徳島県、徳島市で生産されるものです。唐木仏壇の産地として、最も高い技術を誇り、生産量も全国一となっています。徳島県はもともと木工技術に優れた地であったことが、徳島仏壇を生むきっかけになったといわれています。
●大阪唐木仏壇
金仏壇の産地でもある大阪は、唐木仏壇の産地でもあります。大阪は、江戸時代に唐木が輸入される流通経路があり、それをきっかけに唐木仏壇を作る地となったといわれています。大阪唐木仏壇は、仏壇の内部が三方金と呼ばれる金箔を貼ったもので、それがガラスによって保護されていることが特徴です。
●静岡仏壇
静岡県、静岡市が唐木仏壇の産地となっていて、昭和二十年代に正宗仏壇を産地であったことが唐木仏壇の産地となるきっかけになりました。小型の唐木仏壇を得意とし、一般家庭用の仏壇を数多く産出しています。