浄土真宗本願寺派の仏壇
浄土真宗では、お亡くなりになった方は、仏の弟子となります。他の仏教では、戒律を守ったものに与えられる名が戒名で、お亡くなりになった方にも戒名が授けられます。ですが浄土真宗では、戒名とは言わずに「法名」といいます。これは戒めを守れない人々も阿弥陀仏によって救われるという考え方に起因するもので、通常は居士や大姉などの位号は用いません。とはいえ、地方差が大きく、菩提寺によって、他の仏教宗派と同様の位号が付けられている場合もあります。
また、位牌を用いずに過去帳を用いるのが基本であるため、仏壇に位牌を祀ることは基本的にありません。ですから、お位牌を仏壇に入れる場合も、それは過去帳の代わりであって故人を礼拝するものではないというのが基本的な考え方となっています。これは大谷派でも本願寺派でも同じです。もともと大谷派と本願寺派が分派したのは戦国時代で、本願寺と織田信長の戦いに起因するもので、秀吉が本願寺の京都移転を行った際に、京都六条に移転されたのが西本願寺・本願寺派です。そして秀吉の没後、家康の天下統一の後、京都烏丸七条建立させたのが東本願寺・大谷派です。教義的な違いで分派したわけではないので、教義に違いはなく、どちらも浄土三部経を根本聖典としています。
それでは何が異なるかというと、仏壇の整え方が大きく異なります、これは本堂を模したものが正式という強い考え方に影響を受けたものです。浄土真宗本願寺派の仏壇は、一重破風屋根、柱は金箔張りで、西本願寺の阿弥陀堂を模したものが正式です。
浄土真宗本願寺派のご本尊は阿弥陀如来で、六号名号(南無阿弥陀仏)を祀る場合もあります。絵像の場合、阿弥陀如来は、背光が上下とも6本と決められています。浄土三部経を経典とし、脇掛けは、右に十字名号、左に九字名号となります。浄土真宗では、この掛け軸は菩提寺を通じ、本山からいただくのが正式です。焼香の際は、線香を立てずに、折って寝かせるのが特徴的です。