仏教の歴史
仏教はもともと、インドから世界に広まったもので、お釈迦様を開祖とする宗教です。お釈迦様の俗名は、ゴータマ・シッダッタ(パーリ語)もしくはガウタマ・シッダールタ(スクリット語)です。
シッダールタ、後のお釈迦様は、紀元前のネパールで王族として生まれました。当時のネパールはバラモン教が信仰されており、カースト制度がありました。現在もネパールやインドでは、法律で禁止されているものの、カースト制度が残っています。このカースト制度の最上位は、バラモンつまりは司祭であり、王族のクシャトリヤはその下位に属します。ちなみにその下は庶民階級でありヴァイシャ、奴隷階級であるシュードラの4階級で構成され、シャモンと呼ばれる出家した修行僧はカーストに含まれないものとされています。
シッダールタは、クシャトリヤとして生まれ、裕福に暮らしていましたが、カーストによる身分制度に疑問を抱き、出家することになるのです。そして35歳の時に、インドの菩提樹の下で悟りを開き、このシッダールタの教えが仏教の基本となっています。
お釈迦様には多くの弟子達がいて、お釈迦様の入滅後に布教活動を開始します。そしてお釈迦様の言葉であるお経の解釈が研究されることになり、現在の仏教経典の基礎となるものが記されました。このため布教が疎かになり、それに疑問を抱く人達から大乗仏教が誕生します。それまでは悟りを開くには出家が重要視されていましたが、大乗仏教は多くの大衆を救うことに主眼を置いたもので、三蔵法師が学んだのもこの大乗仏教です。日本の仏教は中国を経由して伝わりましたから、日本でも大乗仏教を基礎としたものが多くなっています。そして時代が下り、大乗仏教とヒンドゥー教が混ざり合い、密教が生まれることになります。ヒンドゥー教は、仏教成立後に再編成されたバラモン教です。密教が生まれた当時は、すでに日本に大乗仏教が伝わっていましたから、密教が伝わったのは、仏教が広まった後のことです。
日本に仏教が伝わったのは、西暦552年と538年の二つの説があります。どちらにしても、大化の改新で暗殺された蘇我入鹿が、権力者として最初に仏教を受け入れた人物であることは間違いないようです。
そして日本に伝わった大乗仏教は、在来宗教の影響も受けながら、聖徳太子の手で日本的な解釈が加えられ、日本の仏教の基礎となりました。
そして平安時代に入り、最澄と空海が中国に留学します。この留学で最澄は天台教学を学び、後に天台宗を日本に広めることになります。そして空海は、密教を学び、真言宗を開くことになったのです。
鎌倉時代に入ると、当時の社会情勢への不安から、仏教はさらに民衆を救う方向へ変化します。浄土宗、禅宗、日蓮宗、臨済宗、曹洞宗が生まれたのはこの時です。この流れは室町時代まで続き、時代は江戸へと変わります。
江戸時代以前から、仏教は民衆に広まっていましたが、この時代に檀家制度は生まれ、庶民のお葬式にお寺が関わるようになりました。これが現在の日本における仏教のあり方の基盤ともなっています。